『陰陽師 付喪神ノ巻』
「おれはな、晴明、おまえがいるから、この世はそんなに悪いものではないと、そんなふうに思っているのだ」 ― 「打臥の巫女」(文春文庫p.297〜298) 「おれは、おまえが女のところにゆくなどというから、なるほど、おまえにも人なみなところがあったのか、安倍晴 ― 「這う鬼」(文春文庫p.106) |
上の方は、『陰陽師』シリーズ全ジャンル中、一番のお気に入りシーン。自らの胸の内を率直に語る博雅と、さりげない一言 後の方は、いい加減にしろ、この馬鹿ップル、てなもんで。(汗)晴明も先に「仕事だ」って言えよ。やっぱわざと「女のところ」 個人的に、短編集の中では一番気に入っています。「鉄輪」をはじめ、シリーズを代表するような作品が多く入っていて、粒 変えるのを口を開けて見てるとか、蛭に憑かれた女房が現れた時、簾に顔を押しつけて見てるとか、いちいち可愛らしゅうご ざいます。 |
瓜仙人 |
<出典> 『今昔物語集』巻27−31「三善清行の宰相、家渡りせる語」 |
32「民部の大夫頼清の家の女の子の語」 |
33「西京の人、応天門の上に光る物を見たる語」 |
巻28−40「外術を以て瓜を盗み食はれたる語」 |
大和から都へ帰る途中で博雅が出会った、不思議な術を用いる老人は、晴明とは旧知であった。老人の伝言を聞いた晴明は、 五条堀川にある化け物屋敷へと向かう。 |
鉄輪 |
<出典> 謡曲「鉄輪」 |
夜ごとに貴船神社へ丑の刻参りに通う女。社人が夢のお告げと称して「汝が願い聞き届けたり」と告げた時、女は鬼へと変容 して憎い男に襲いかかろうとしていた。 |
這う鬼 |
<出典> 『今昔物語集』巻27−21「美濃の国の紀遠助、女の霊に値いて遂に死したる語」 |
旅帰りの男が、鴨川の橋のたもとで妖しい女から託された箱の恐るべき中身。晴明は呪詛を受けた女を救うことが出来るのか。 |
迷神 |
<出典> 『今昔物語集』巻27−25「女、死せる夫の来たりしを見る語」 |
愛する夫に死に別れた妻は、我が夫ともう一度、ひと目会いたいと願ったが。 |
ものや思ふと・・・ |
姿なき鬼と、歌人壬生忠岑父子との交流。「天徳の歌合」の意外な舞台裏。 |
合の再現をやっていたのですね。(陰陽師がブームになるより随分前)そこで読み間違えをしてしまった講師の誰かさんも出てて、この 話を最初に読んだ時、「ああ、あのおっさん、博雅だったんだー」と・・・。 |
打臥の巫女 |
<出典> 『今昔物語集』巻31−26「打臥の御子巫の語」 |
打ち臥して未来を予言する「打臥の巫女」が藤原兼家に告げた瓜の予言。果たして、まもなく兼家の屋敷に瓜が齎される。果たし てこの瓜は吉か凶か。 |
血吸い女房 |
夜な夜な屋敷の女房たちが血を吸われるという怪事件。果たして吸血鬼の正体は。 |