『陰陽師 鳳凰ノ巻』



 短編集4冊目にしてちょっと小休止、といった感じですね。比較的小粒の作品が多い印象。中で
道満との呪術対決のエピソードなどは、大掛かりなお話なのですが、余り晴明と道満がつるんでい
るのが好きではないので、個人的には・・・というところです。博雅のポジションが、何だか岡野
版っぽい感じも抵抗あるのかも。(蚊帳の外、という感じ)



泰山府君祭
<出典> 『今昔物語集』巻19−24「師に代りて太山府君の祭りの都状に入りし僧の語」
 三井寺の高僧が突然息を引き取った。ふらりと現れた道満が泰山府君の祭りをせよと告げる。果たして道満の意図とは。

青鬼の背に乗りたる男の譚
<出典> 『今昔物語集』巻24−20「人の妻悪霊と成りしを其の害を除きたる陰陽師の語」
       『宇治拾遺物語』160「一条桟敷屋、鬼の事」
 長年連れ添った妻を捨て、焦がれ死にしたその屍も弔わなかった男が、その妻の怨霊に脅かされる。

月見草
<出典> 『今昔物語集』巻24−26「村上天皇と、菅原文時と詩を作り給へる語」
                 27「大江朝綱の家の尼、詩を読み直せる語」
 亡き大江朝綱の屋敷跡に現れた女の正体とその謎掛けの答えとは。

漢神道士
 夜ごと、奇怪な老人に連れ出され、真っ赤に焼けた鉄の柱に抱きつかされる悪夢に悩まされる公達の運命は。

手をひく人
 鴨川の畔に住む夫婦を襲う怪異。夜ごとに夫婦を訪れ、鴨川の橋上に誘う男女の妖しの意図とは。

髑髏譚
<出典> 『今昔物語集』巻12−31「僧の死にし後、舌残りて山に在り法花を誦せる語」
                    巻19−19「東大寺の僧、山にして死僧に値へる語」」
 最照寺の僧が夢で出遭った恐ろしい怪異。晴明は、謎の唐人たちに拷問を受ける僧たちの霊を救うことができるのか。

晴明、道満と覆物の中身を占うこと
<出典> 飛鳥井栄雅『月刈藻集』中
 摂関家の内輪もめがもとで、晴明と道満は内裏で方術比べをさせられることになった。その意外な顛末とは。



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